旅行記 2015 10 「東北ジグザグ紀行」 ⑤立石寺・五大堂から鳴子温泉へ
奥之院から五大堂に向かう。石段を少し下りて、脇道にそれる格好だ。
多分NHKだったと思うが、小学生のころテレビでやっていた立石寺の特集に、私は釘付けになった。とくに目を奪われたのは、これから向かう、五大堂である。子供心に、「こんなすごい寺が山形にあるんだ!」とびっくりしたのを覚えている。それから十数年経って、ようやくこの目で立石寺・五大堂まで来る機会を得た。
山肌からせり出した舞台のような五大堂、ここからの眺望は格別だ。
ついさっきまでいた山寺の駅前や、遠くまで連なる山々、そのふもとに広がる集落、そういったものを一望できる。最高に気持ちいい。
五大堂はさほど広くなく、観光客がひっきりなしに入れ替わり立ち替わり出入りするので、少々せわしない。それでも、この眺望に見とれていると、時間が経つのも忘れてしまう。20~30分くらいはここから景色を見下ろしていただろうか。
とはいえ後の旅程のこともあるから、いつまでもここにいる訳にはいかない。後ろ髪引かれる思い出はあるが、立石寺を後にする。登りでは散々苦労した石段も、下りでは15分もあれば下まで下りられてしまい、なんだか複雑。
立石寺では観光の時間を3時間確保していたのだが、2時間ほどで下りてきてしまった。これなら1本早い仙山線に間に合いそうだ。
駅まで戻る途中の立谷川の河原に、なにやら人だかりが。これは、アレか。あの、噂に聞く、芋煮会ってヤツか。ここ山形だし。
山寺駅からまた鉄道の旅。仙山線で山形を目指す。
1本早い列車に乗ったため、山形で時間ができてしまった。とりあえず腹が減ったので、山形で何か食べる。ネットで調べたところ、山形は”冷しらーめん”なるものが有名なのだとか。夏は高温になる山形で生み出されたこのメニュー、よくある冷やし中華とは、似て非なるものらしい。
駅東口の、商店街を適当に歩き、冷しらーめんの幟を掲げた店があったので入ってみる。そこで注文した冷しらーめんが、上の画像のものだ。"冷し"というだけあって、当然冷たい。食べやすく、するりと体に入る感じだ。ただし、見た目と温度のギャップがあるから、人によっては好き嫌い分かれるかも。
まだ時間があるので、駅の西口にやってきた。「霞城セントラル」という再開発によって建てられた複合ビルがあり、その最上階が展望フロアとして開放されている。仙台でもそうだったが、私の旅においては、とりあえず高いところから町並みを見下ろそうという行動パターンが多く、今回もその例に漏れない。山形駅を俯瞰すると、ちょうど山形新幹線が入線するところだった。あと、「例のマンション」の姿も南方にうっすらと確認できた。
山形からは、奥羽本線の普通列車で北上する。観光を終えて宿に向かう私。疲れからか、不幸にも普通列車の中で爆睡してしまう。というわけで、山形から新庄までの記憶がほとんどない。
新庄駅に着いた。新幹線に合わせて改軌された奥羽本線新庄以南と、従来のままの奥羽本線新庄以北・陸羽東線・陸羽西線は分断されている。けれども分断の副産物として、新庄駅ではすべてのホームに平面移動のみで向かえる構造になっている。新庄から陸羽東線の列車に乗る。ここの本数が少なく、旅程を組む際に苦労した。
再び宮城県に戻ってきて、鳴子温泉。新庄からは1時間ほどだった。
宿は4種類の泉質が楽しめると謳っている、↓こちら。
チェックインを済ませ、温泉街を歩いてみた。ちょうど鳴子温泉街では音楽祭が開かれていて、山峡の町に音楽が響き渡っていた。近隣の旅館の宿泊客だろうか、けっこうな人出であり、なかなか楽しそうだ。
一方でイベントを行っていない箇所は、上の写真のように温泉街といえども閑散としていた。個人的にはこっちのほうが好み。
鳴子温泉には日帰り入浴ができる共同浴場がいくつかあったが、宿に帰れば4種類の温泉が待っているので、これらはスルー。
さて、宿に戻って温泉三昧だ。単純泉から硫黄泉から何やら、正直泉質についてはよく分からないが、かわるがわるすべての温泉に入った。硫黄泉のところがいちばんよかったかな。ちょっとのぼせた。
誤算だったのは、宿は素泊まりで湯治用の宿舎に泊まっていたのだが、宿の近くのスーパーがこの旅行の直前に潰れてしまい、片道徒歩15分くらいかけてコンビニまで夕食を買いに行ったこと。東北の秋の夜は、寒かった。
あと、湯治用の宿舎は、廊下と自室を隔てるものが障子一枚というガバガバ仕様で、近くの部屋の団体客がけっこう夜遅くまで騒いでおり、ちょっと辛かった。まぁ疲れのほうが勝り、すぐに寝てしまったのだけど。
そんなこんなで、鳴子の夜は更けていった。
(つづく)
旅行記 2015 10 「東北ジグザグ紀行」 ④立石寺
10月3日。仙台よりおはようございます。
昨夜はネットカフェ泊だったけれども、案外良く眠れた。フラットシート万歳。食べ放題のソフトクリームを食べ過ぎて、少しお腹が痛いのは気にしない方向で。
今日より、秋の乗り放題パス(https://www.jreast.co.jp/press/2015/20150906.pdf)を使用する。3日間連続、日本中のJRの普通列車が乗り放題。青春18きっぷの、姉妹商品といった感じの企画乗車券だ。
仙台駅より乗り込んだのは、仙山線の列車。仙山線は、その名の通り”仙”台と”山”形の2都市を結ぶ路線だ。路線は全域仙台市内または山形市内を通る。しかし途中で奥羽山脈をブチ抜く関係で、路線の中間地点あたりの人口はかなり疎らだ。そんなわけで、都市間輸送を担うビジネスライクな雰囲気を醸しながら、山間を縫うローカル線の趣も兼ね備えている、そんな印象を抱いた。
仙台駅から大体1時間。列車は県境を越えて、山形県の山寺駅に着いた。私と同じような、観光客風の降客もけっこう多い。早速荷物をロッカーに入れて、駅前へ踏み出す。
・・・山の上に、なにやら経っている。かなりの高さだ。
これこそが今日の目的地、「宝珠山 立石寺」である。
駅から歩くこと20分(いろいろ寄り道したので、まっすぐ向かえばもっと早いはず)、立石寺の門までやってきた。ここで入山料300円を支払い、山内に入る。
立石寺で有名なのは、なんといっても石段。最上部まで1000段近い石段が待ち構えているのだ。いやはや。でも登るごとに煩悩が消えるみたい。
信じられないことだが、”山寺”で”山寺宏一”がロケをしていた。
中腹にあるここは”弥陀洞(みだほら)”。荘厳で、近寄りがたい雰囲気すらするこの場所、一目見て気に入った。岸壁に岩塔婆と呼ばれる塔婆を模した陰刻がなされている。「死後の魂は山寺に還る」 という、この地方独特の庶民信仰によるものらしい。そういえば同じ東北の恐山でも、地元の信仰では死後の魂は"山"に向かうとされていたっけ。
約1000段の石段を登りきり、奥之院までやってきた。正直、しんどかった。気温はだいぶ涼しいはずなのに、汗びっしょりだ。とりあえず、無事大学卒業できますように、と願いをこめ、参拝した。
倉庫の隠し仏を発見。
奥之院の参拝を終え、本日のハイライトとなろう、五大堂へ向かう。
(つづく)
旅行記 2015 10 「東北ジグザグ紀行」 ③仙台・松島
松島に行くことにした。理由は、日本三景の一つであり有名で、かつ行ったことがなかったからだ。まだ日没までには、少々時間がある。
バスは仙台市街に戻ってきた。仙台駅前で降りるが、高速バスのときと同じように、駅から少し離れた場所での降車だった。
松島へはJRで向かうのだが、ちょうどバスを降りたその場所に、仙石線あおば通駅の入り口があったので、こちらの駅を使う。
あおば通駅は、仙石線の始発駅である。ターミナルの仙台駅よりわずか1駅、営業キロにして0.5km。乗った仙石線列車は、わずか1分ほどで仙台駅に到着した。
ところで、目的地松島に最も近い松島海岸駅はこの仙石線の先にあるのだが、乗った列車は途中の東塩釜までしか行かない。調べたところ、別のルートを辿ったほうが早そうだったので、仙台駅で乗り換える。
仙台から乗ったのは、仙石東北ライン。例によって写真はない。この旅行の時点では半年ほど前に開通した路線で、東北本線と仙石線を直通運転することで仙台石巻間の速達性向上を図ったものである。東北本線と仙石線で電化方式が異なるため、ハイブリッド気動車で運転される。時刻は16時過ぎ、ラッシュというほどではないにせよ、列車内の座席はほとんど埋まっていた。
高城町駅で仙石線東塩釜方面に乗り換え、16:44松島海岸駅到着。
もう既に日が傾きかけている。足早に、海岸に向かった。
松島といえば遊覧船で湾内を巡るのが有名だが、さすがにこの時間では動いていない。
海岸付近をフラフラと散策しながら、写真を撮るくらいしか、することもない。
船が停泊していると、どうしても撮ってしまう。
日の入りの時刻だが、東側に海が広がる松島では、絶景は望めそうにない。
少々慌しいが、夕暮れの松島散策を終え、仙台に戻る。
今度は素直に、仙石線で仙台へ。
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やはり仙台といえば牛タン。旅先での食にさほど頓着しない私ではあるが、これは外せない。計画段階より、今夜は牛タンと決めていた。
仙台駅の新幹線入り口近くに、牛タンを提供する店が複数軒を連ねた、「牛たん通り」がある。その中で私が入ったのは、「味の牛たん喜助 JR仙台駅店」。時間帯によってはこの牛タン通りの店舗はかなり混むようだが、すんなり入店できた。
牛タンは弁当などで食べたことはあるが、こうしたちゃんとしたお店で食べるのははじめて。意外と柔らかく、美味かった。
貧乏旅行なので、この日はネットカフェ↓泊。
グランサイバーカフェ バグース仙台詳細|BAGUS公式サイト|ダーツ・ビリヤードゲームならバグース
途中でダイエーにて明日の朝食を買いつつ、今宵の宿に向かった。
(つづく)
旅行記 2015 10 「東北ジグザグ紀行」 ②仙台・青葉城址
仙台駅のコインロッカーに大きな荷物を放り込んで、仙台の町に出てみることにした。
今晩はこの街で泊まるが、それまでの時間をどう使うかはとくに決めていなかった。ノープランだ。
14歳のときに一度仙台に来たことがある。当時の自分は如何に長い時間・長い距離を列車に乗るかに腐心しており、仙台に来たのもあくまで乗り換えのためであった。東京より新幹線で仙台にやってきて、萩の月と牛タン弁当だけ購入して1時間もしないうちに上野ゆき特急「ひたち」に乗り換え、再び南下したのを覚えている。今回のが「紀行」であるなら、当時のはまさしく「奇行」であっただろう。ともかく、そんなわけで仙台の街を回るというのは実質初めての経験だ。さて、どこに行こう。
仙台駅の西口から、「るーぷる仙台」という観光地を周遊するバスが出ている。その路線図を見ながら思案していたが、とりあえず青葉城址に行くことにした。理由は特になく、ただなんとなく、有名だから。
青葉城址は高台にあり、仙台市街を一望できる。こうしてみると、なかなかの都会だ。天気が良かったので、うっすらと仙台湾まで見渡せた。
すぐ足元をよく見てみると、広瀬川が大きく蛇行して流れている。
そして、青葉城址とえいば、これだろう。伊達政宗像。想像のよりかなり大きかった。
・・・とこんな感じに城址からの眺望と伊達政宗像を見てきたが、正直なところ見所はこれだけ。すぐに見終わってしまった。「本丸会館」という、青葉城に関する資料館のようなものはあったが、城郭そのものがないのにその歴史を学んでもなぁ・・・と思いスルー。なにより入館料がけっこういい値段した。そのほか、観光客向けに食事やら土産物を提供する店が数件あるくらい。青葉城址、一度来られればもういいかな・・・。
青葉城址で夕方まで時間を潰そうと当初は考えていたが、1時間くらいで山を下りることにした。バス(こちらは一般の路線バス)で仙台市街に戻る途中に、東北大学のキャンパスを通ったのだが、その広さにびっくり。やっぱり旧帝大はすげぇや。
つぎはどこに行こう。バスに揺られながら考えた。
(つづく)
旅行記 2015 10 「東北ジグザグ紀行」 ①東京→仙台
2015年10月に、東北に行った。一人旅だ。
東北は、行かねばならない土地だと常々思っていた。9月に那覇の地を踏んで47都道府県すべてに足跡を残した私ではあるが、それでも手薄な、堪能し切れていない地域は山ほどある。今回訪れた宮城・山形・岩手の3県はまさしくそういった地域だった。
私は現在こそ東京に住んではいるが、もうまもなく西へ転居することがほぼ決まっている。そうなってしまえば東北の地は今よりもっと遠くなってしまう。行くなら今しかないという焦燥感もあった。
ただし、この旅行の計画自体かなり突貫であったので、金銭的な余裕はなかった。9月の沖縄、そして10月下旬に予定されていた函館旅行の狭間の時期という間の悪さも災いした。必然的に、貧乏旅行にならざるを得ない。しかし、幸い、時間はある。
とにもかくにも、急ごしらえではあるが、東北3県を回るプランを完成させた。宿や切符類の手配も終えた。平野から山地から盆地、そして海へと東北地方をジグザグに辿る旅の始まりだ。
写真は10月2日、11:45ころ、福島県の東北自動車道安達太良SAで撮ったものである。なぜこんな唐突な始まり方かといえば、それまでの写真が全くないからだ。撮ってなかったんだから仕方ない。それにしても、今回の旅行も天気には恵まれそうだ。
こんな時間に安達太良SAにいたのは、ここが高速バスの休憩地点であったからである。今回は貧乏旅行ということで、新宿から仙台まで2000円台だったWILLER TRAVELの高速バスを利用した。
早朝、自宅から都営大江線で都庁前へ。バスの新宿発は7:10だった。バスの待合室と乗り場が別の場所にあり、こうしたツアーバス系の高速バスを利用するのが初めてであった私は少々戸惑ったが、無事に乗ることができて一安心。
ほぼ定刻で新宿を出発したバスは池袋までは一般道を走行。そこで乗車扱いを行ったのち、東池袋入口から首都高速に入った。各座席にはモニターがついておりテレビや映画を楽しむことができたが、別段興味深い内容でもなかったのでほとんど使わなかった。4列シートの窓側の席であったが、この日はほぼ満席で私の隣にも池袋より乗客が座った。率直なところ、狭い。安いのだから、仕方ないと割り切る。
朝が早かったので微睡んでいたら知らぬ間にバスは東北自動車道に入っていた。佐野SAで一度休憩をとったのち、件の安達太良SAで2度目の休憩をとった。
少々遅れて、13:40ころ仙台駅西口に到着した。西口といっても、駅の出口からちょっと距離のある路上で下ろされた格好だ。とりあえず腹が減ったので、近くにあった松屋で牛めしをかき込んで、仙台駅に入っていった。
(つづく)
開設の辞
みなさんこんにちは。
久しぶりにブログというものに手を出してみようかと思います。
趣味の旅行のことやらなんやら、ぐだぐだと書いていこうかと。
ただ私けっこう飽きやすいタイプなんで、続けて更新できるかどうか…
今のうちに予防線張っておきます。
それでは。