第2回「旅程を他人に押し付けろ! ~行程シャッフルフェスティバル~」を開催しました 

メンバーひとりひとりが大切にしている、旅行オタクとしての気持ち。

 

大切なライバルで、大切な仲間だから――

もっともっと、知りたくなるんだ。

まだ知らない君を、見つけにいきたい!

 

それぞれが大切に作ってきた行程を交換して旅行をすることを決めたオタクたち。

 

それは、お互いの想いを伝えあうことで――。

 

「ねえ、あなたは誰がどの行程を旅したらいいと思う?」

 

 



 

 

 

お久しぶりです。ごんざれすです。

この煽りでお察しがついたかもしれません。あの企画が帰ってきました。

 

第2回「旅程を他人に押し付けろ! ~行程シャッフルフェスティバル~」



さる9月23日に、第2回「旅程を他人に押し付けろ! ~行程シャッフルフェスティバル~」を開催しましたので、その顛末をご紹介します。

 

まず、第2回「旅程を他人に押し付けろ! ~行程シャッフルフェスティバル~」とは何かという話ですが、旅行オタクが複数人集まって行われる伝統芸能でして、

 

①参加者が日帰り行程を作成する

②作成した行程をシャッフルする

③引いた行程に従って旅程を遂行する

④全員帰着後、参加者間で感想を交換する

という流れで行われます。

 

第1回は昨年のGWに岡山で開催されました。その様子は↓↓↓にリンクを貼っていますので、よろしければどうぞ。

 

 

gonzalez.hatenablog.jp

 

 

 

第2回は、1年4ヶ月振りの開催となります。今回の開催地は関東。前回は出発地と帰着地が同一でしたが、今回は出発地は東京都府中市東京競馬場近辺帰着地は茨城県取手市取手駅と、別々に設定されているのがちょっと変則的です。前回と同じメンバーで、4人で開催されます。

 

行程をシャッフルすることで、はたしてオタクたちはどうなってしまうのか…?

それでは、当日の様子をご覧ください。



1.【是政→新宿】

 

9月23日、6:40。是政駅。ここから行程をスタートします。

 

 

西武多摩川線の終点

今回は、前回の岡山駅のような決まった出発地がないため、出発する駅も行程作成者に委ねられます。他の参加者はJRが発着する府中本町駅に向かう行程が多かったようですが、私は西武多摩川線の終点、ここ是政駅から。

 

時刻は6時台と、決して遅い時間ではなかったですが、すでに自分の他に2人の参加者がスタートを切っていました。特にそのうち1人は4時台の始発に乗せられているらしく、大変そうだなぁ(他人事)と思いましたね。

 

6:45の武蔵境行きに乗車します。西武多摩川線に乗るのは初めてなので新鮮。

是政を発車した列車は、途中駅で乗客を拾いながら武蔵境へ向かいます。

 

府中に西武の車両がいるのはなんか違和感

 

西武多摩川線は、武蔵境と是政を結ぶ、6駅からなる短い路線です。起点と終点の間を普通電車がひたすら往復しています。地域密着型のあまり目立たない存在ながら、新宿線池袋線といった他の西武鉄道の路線とは全く接続されていないという特異な路線でもあります。

 

やはり朝ということで、起点の武蔵境でJR中央線に乗り換えて、都心方面へ向かう需要が大きいようです。途中の白糸台駅で降りると京王線武蔵野台駅へ乗り換えられるようですが、ちょっと歩くみたいですね。

 

ホームに普通のママチャリをそのまま引いてきている乗客がおり、一瞬ビビりましたが、西武多摩川線サイクルトレインとして運転されていて、土日は終日車内に自転車を持ち込めるようです。これは便利そう。

 

武蔵境に到着。行程では5分の乗り換えとなっていましたが、後の行程に差支えが無さそうだったので、1本見送り後続の中央線に乗ります。さすが中央線というべきか、7時頃であってもなかなかの混雑でした。三鷹で青梅特快に追い越されるとのことで、そちらに乗り換えつつ新宿へ向かいます。



2.【新宿→??】

7:27、新宿着。ここで特急列車に乗り換えます。

新宿から出発する特急は数多ありますが、指定された列車は、7:50発の特急「新宿さざなみ1号」館山行きです。

房総半島方面に向かう特急は通常東京駅から出ますが、臨時で新宿を始発駅とする便が設定されることがあります。存在は知っていましたが、実際に乗車するのは初めて。

指定されたのは4号車のグリーン車で、気分も上がります。

 

新宿さざなみ

 

定刻に新宿を発車した「新宿さざなみ」は、まず秋葉原に向け東京都心を横断します。この区間は中央線・総武線を走行しますが、通常は快速列車や普通列車が主に運行されている区間であり、特急列車の、それもグリーン車のシートに身を預けながら車窓を眺めるのはなかなかに珍しい体験です。途中通過する飯田橋御茶ノ水界隈は、学生時代に多くの時間を過ごした場所であり、懐かしさを覚えながら秋葉原着。

 

秋葉原でも乗客を拾い、列車は引き続き東へ向かいます。グリーン車は、窓側はだいたい埋まりつつあるくらいの混雑具合。しとしとと雨が車窓を叩いており、今後の行程に若干の不安を覚えます。隅田川を渡って錦糸町。ここからは、通常の東京発のさざなみ号が走行するルートに合流します。

 

江戸川を渡って千葉県に入る頃から、事前に買っておいたパンを朝食にしながら、今回の行程についておさらいしました。今回の行程は結構やるべきことが多く、この時点では全てを咀嚼し切れていませんでしたので、ここで頭に叩き込みます。

 

船橋津田沼、千葉と停まって、8:46蘇我発。

これまで私は全国津々浦々を回ってきたと自負していますが、実は千葉県の房総半島、蘇我から大網を結んだライン以南には足を踏み入れたことがなく、かねてより行ってみたいと望んでいました。西武多摩川線にしろ、新宿さざなみ号にしろ、初めての体験が今回の行程では多くあり、これを引き当てたのはラッキーだったのかもしれません。

 

さて、この時の私は、未踏の地に向かう高揚感を抱きつつも、その実かなり焦っていました。原因は、降り続くこの雨。雨雲レーダーを開くと、この日の午前については、日本中でもほぼここだけ、神奈川県から千葉県にかけてのエリアで降雨が見込まれる表示となっています。出発した他のメンバーは多くが北の方角へ向っており、投稿される写真を見ると快晴とは行かないまでも雨には降られていないようで、なぜ自分だけ…と思わなくもないですが、そういう催しなんで羨んでも仕方ありません。

 

なぜ雨をそこまで厭うかは、この後の行程に関係します。

与えられた行程はこうでした。

 

 新宿さざなみ号を岩井駅で下車

→20分強徒歩で移動し、道の駅「富楽里とみやま」でレンタサイクルを借りる

→借りた自転車で小浦港へ移動し、そこで「ミッション」を行う

 

そう、自転車での移動が予定されていたので、今後どうすべきか迷っていたわけです。予定されている行程をアレンジしないといけないかもしれません。

 

ここで私の脳内にはいくつかのプランが浮かんでいました。

 

①行程のとおり、レンタサイクルを借りて小浦港へ向う

できることなら可能な限りこの行程に忠実に事を運びたい。しかし、雨が止まない場合は、避けざるを得ないでしょう。徒歩の行程は傘を持っているので何とかなるとして、自転車を借りるとなると話は別です。レインコートのようなものをどこかで調達しなければならないですし、そもそも雨が降っていることを理由にレンタルが中止される可能性も考えられます。仮に借りられたとしても、びしょ濡れで返すのは気が引けます。

 

②タクシーを利用して小浦港を往復する

行程作成者も無策ではないようで、雨天用の行程を注釈に示していました。それによると、岩井駅と小浦港をタクシーで往復するというものでした。

一見良さそうに見えますが、失礼ながらどうも私はこのプランを実行する気があまり起きませんでした。

というのも、私の中に、地方でタクシーはあまり積極的に使いたくないなぁという思いがありました。決して個々のタクシー事業者が悪いわけではありませんが、人口が多くなく、自家用車を利用した移動が優勢な地域では、そもそもの供給の少なさからタクシーを容易に捉まえられないばかりか、仮に営業所へ配車を手配しても断られてしまうケースが多くあります。正直岩井駅にタクシーがどれくらいいるかという状況がはっきりとは分からないので何とも断言しがたいところですが、実際に過去に同様のケースに直面し途方に暮れた経験があるので、この案にはなかなか気が乗りませんでした。

また、仮に小浦港まではタクシーで行けても、往路はどうするかという問題があります。「ミッション」を行うにはそれなりの時間がかかるため、さすがにずっとタクシーを待たせるわけにもいかないでしょうから、後にする際に再度配車の手続きをしないといけない可能性があります。その際に車両が出払っていたら、小浦港で帰りの手段を失うことになります。

 

③歩いて小浦港まで往復する

徒歩で往復。非常にシンプルです。Googleで調べると、小浦港までは2.2km、31分。決して歩けない距離ではありません。

選択肢としてあり得ない訳ではありませんが、往復することを考えるとこちらもどうも気が乗らず…

雨かつそこそこの荷物もある中、田舎道を1時間以上とぼとぼと1人で歩くことを考えると、どうも食指が動かないなぁという思いが先行します。

 

④雨が止むまで待つ

雨雲レーダーは、ちょうど着いてから1時間程が降雨のピークで、それ以降はだんだん雨が上がってくるという予報を示していました。

これを信じるならば、例えば先述の道の駅で雨が止むまで時間を潰し、晴れてから行動を開始するという選択肢も浮かび上がってきます。

ただし、のちの行程に影響を及ぼしてしまうことは必至です。この後も別の場所に移動する予定があり、分刻みのスケジュールではないにしろ、できるだけ影響を後に持ち越したくないので、悩みどころです。

 

こんな感じで暫く逡巡していましたが、果たして…

 

気付けば列車は木更津、君津を後にして浜金谷に差し掛かる頃でした。浜金谷は降りる予定の岩井の10km程手前の駅で、ここを出発するとものの10分程で岩井に着くことになります。そろそろ決断をしなければなりません。

 

止む気配のない雨

 

9:40。浜金谷着。

停まった新宿さざなみ号の車窓から、ホームの様子を伺います。

一見すると殆ど降ってないように錯覚しましたが、水溜りを叩く雨足の強さと、降りた乗客が慌てて屋根のあるところまで駆けてゆくのを見て、行程どおり自転車を使って移動することは厳しいことを悟りました。

そして選んだ選択肢は――。

 

3.【館山】

 

オタクカー(レンタル)発進!!!

 

 

遡ること数十分。浜金谷を発った新宿さざなみ号のデッキからコールしました。

「このあと10時過ぎの特急で着くんですけど、車の空きってありますかね?」

かけた先は館山駅前のレンタカー営業所。直前も直前でしたが、調べてもらったところ、都合よく軽自動車なら空きがあるとのことで、即座に予約を入れました。なお岩井駅にはレンタカーはなく、君津を過ぎたら館山まで店舗がなかったため、一旦行き過ぎるほかありません。

やっぱり自動車の圧倒的な機動力には抗えなかった…ゆるして…ゆるして……急に雨が降ってきたときにも逃げ込めるし…

ちなみに電話したのは「駅レンタカー館山営業所」。特段の理由はないのですが、駅から近く料金が極端に高いこともなさそうなのでここにしました。実際向ってみると、JRグループ運営ということもあり、ほぼ駅直結のような立地でたいへん便利でしたね。

予定外の館山



本来降りる予定だった岩井駅を過ぎ、10:06、新宿さざなみ号は、終点の館山に到着です。

窓口で乗越の精算を行い、先述の営業所で手続きも済ませて、いざ出発。

 

目的地となる小浦港を通り過ぎて館山まで来てしまったので、内房線沿いに戻る格好になります。約13キロのドライブです。

 

4【小浦港】

 

海沿いに北上することおよそ30分。目的地の小浦港に着きました。運転中、折り畳み傘ではちょっと辛そうな雨に降られる場面もあり、この選択は間違っていなかったようです。

 

さて、今まで何度も当然のように「小浦港」と記載していますが、私も初めて聞いた名前でした。南房総市に位置する港ですが、港といっても小規模な漁港なので、ここから旅客船に乗れるということもないですし、観光客が訪れるような市場が開かれているわけでもありません。ごくわずかの地元の方と釣り人が行き交う他には人の気配もしません。こう言っては身も蓋もありませんが、我が国の海沿いにはどこにでもあるような、静かで穏やかな変哲のない漁港という印象です。

釣りをやるわけでもなし、そんな小浦港でいったいどんな「ミッション」が与えられているというのでしょうか……?

 

ミッション① 

ヤングジャンプ№.25(通巻2112号)巻末グラビアの聖地を巡って声優・鈴原希実さんに思いを馳せろ!

✔下記マップの番号が振られている箇所を巡り、鈴原希実さんと同じアングルで写真を撮影&「鈴原希実さん…」の文言とともにツイートする。




 

正気か…?

 

え?

 

……一旦情報を整理しましょう。

まず「ヤングジャンプ」は集英社から発行されている週刊青年漫画雑誌週刊ヤングジャンプのことですね。最近だと『ゴールデンカムイ』が連載していた印象が強いです。

そして鈴原希実(すずはら のぞみ)さん。宮崎県出身の声優さんで、「ラブライブ!スーパースター‼」発のユニット『Liella!』のメンバーで、一般公募のキャストとして2期生・桜小路きな子役に抜擢された方です。ひたむきに頑張る姿がなんともいじらしく可愛らしいキャストさんです。

apollobay.jp

 

 

情報が揃ったことろで、それの№.25(通巻2112号)の巻末グラビアって言われたってそんなん知るわけ……

 

 



あるんだな。これが。

もちろん今回の行程に持ってきているわけではないのですが、普通に買ってましたね。

なぜって?そりゃぁ…私も鈴原希実さんの写真見たかったし…

ともかく、そんなわけでなんとなくの記事の記憶はありました。あの撮影地なんですねここ…てかなんで場所割れてるんですかね……?

 

(実際は、ご丁寧に行程に当該カットやストリートビューなどを交えた解説の別紙が添付されており、ヤンジャン25号を買っていないオタクでも問題なく現地を回れるようになっていました。たまげたなぁ)

 

行程添付の別紙。著作権的にアレかもしれないので一部加工しています。以下同じ

 

てか、撮影スポットを巡るくらいなら別にいいんですよ。「似たようなこと」を私も自主的にやったことがありますし。

 

↓「似たようなこと」の例

 




 

問題は次の文です。

✔鈴原希実さんと同じポーズで写真を撮ってもらい、夜の反省会にて共有する。(可能であれば)

 

うん、無理!

さすがに私にもそれなりに羞恥心はありますし、地元の人からしたら不審者感マシマシニンニクアブラカラメであることは想像に難くありません。通報でもされて警察署の留置場が行程の最終目的地となっては敵いませんので、さすがにこれは勘弁していただく方向で……

 

ミッションとしてはこの小浦港で1つですが、指定されている撮影スポットは4箇所あり、そのすべてを回る必要があります。海側に2箇所。山側に2箇所。

 

海側から攻めます。港の西側に港湾を守るように防波堤が海に向って伸びており、その突端に赤い灯台があります。Googleマップによると、小浦港西防波堤灯台と呼ぶそう。そのまんまですね。

 

まず灯台のある防波堤突端で1枚。さほど歩ける幅の広くない防波堤の途中には2名ほど釣り人が糸を垂らしており一瞬逡巡しましたが、無言なのも怪しいなと思い「こんにちは~」とにこやかに挨拶しながら脇をすり抜けます。

1枚目。赤い灯台

 

幸か不幸か灯台付近には誰もおらず、早速撮影に取り掛かります。できるだけ雑誌掲載のカットに近づけられるよう試行錯誤しながらも、なんとか無事に1枚目の撮影完了。

 

5分ほど前に通った件の釣り人の脇を、再び「こんにちは~」と唱えながらすり抜け、防波堤の付け根付近の、駐車場とも空地ともつかないスペースで2枚目を撮影。雑誌掲載カットの鈴原希実さんの後ろ側に、車止め用として置いてあるであろう切り株が見えていたのがいい目印になりました。

2枚目。なんか広い場所

 

海側の撮影を終え、今度は山側に向かいます。

相変わらず雨が降り続いており、車で向かおうかとも思いましたが、道が狭く止める場所にも苦労しそうだったので徒歩で向かいました。

漁港を囲うように斜面に集落が形成されており、その只中を貫く狭い道を進みます。猫がトコトコと歩いていたり、いかにも漁村の裏道といった雰囲気。

しばらく進むとさらに山側に分け入る道が分かれます。集落のさらに山側の高い位置を国道127号と内房線が通っており、その道は国道と鉄道をアンダーパスで潜っています。

そしてご丁寧に、用意された別紙には、地図と現地の写真とともにその道に進む旨の記載がなされています。ちょっと待て。詳しく書いてくれるのはありがたいけど、さすがに詳しすぎないか???このあたりの理由は後に明らかになります。

 

分け入った道は、これまでの道よりも輪をかけて狭く、トンネルは暗くちょっとおどろおどろしい雰囲気です。道路わきには小さな川が流れ、大雨でも降ったのか、路面にまで堆積物が積もっています。そこに刻まれた轍も濃くはなく、さほど使用されていない道であることが見て取れます。当然、周囲には人の気配が全くありません。こんなところで女性声優のグラビア撮影が行われたとは、にわかには信じがたいのですが……

 

トンネルを出て振り返ると、確かにその場所はありました。3枚目。トンネル坑口で撮影しているカットです。特徴的な警告色のゲート、コンクリートの成分が析出して一部が白く変色したトンネル壁、背後に映ったガードレールと、まさにこの場所で撮影されていました。

 

3枚目。トンネル坑口

 

4枚目の撮影場所も程なくして見つかります。3枚目のトンネル出口からさらに山側に100メートルほど進んだ地点で道は右方向に屈曲します。そのクランク部分にカーブミラーが設置されており、そこで撮られたようです。

 

4枚目。カーブミラー

問題のカットは、カーブミラーのちょうど鏡面のすぐ下から顔を覗かせているようなものでした。撮影後に同じ位置・同じポーズで立ってみると、私の体格では屈まないと鏡面に頭が当たってしまいます。

カーブミラーを通して彼女の小柄さ(事務所HPによると身長152cm)を感じるとともに、同じ場所で同じ体験をすることで、にわかに彼女の実在性を濃く感じられたような気がしました。こういうのが、いわゆる聖地巡礼の醍醐味なのかもしれません。我ながらだいぶ気持ちの悪いことを書いているなという気がしないでもないですが、これは「鈴原希実さんに思いを馳せろ!」とのミッションを忠実に実行した結果なので、私は悪くありません。

 

 

 

時刻は11時半を回っていました。行程どおりの場合は12時にここを発つことになっているので、幾分か巻きで進められています。ただし、最後にレンタカーを館山へ返すという予定外の行動が発生する以上、早めに事を進めたほうがよさそうです。4枚のカットを回収したのち指定されているツイートを投稿し、再び車を走らせ小浦港を後にしました。天気予報どおり、雨はほとんど上がっていました。

 

5鋸南町

 

次の目的地は近くです。小浦港から5キロちょっと、車だと10分ほどで到着してしまいます。行程上は、小浦港に行った足でそのままレンタサイクルで向かうものになっていました。途中トイレ休憩のため行程で寄る予定としていた、道の駅「富楽里とみやま」に一瞬立ち寄りましたが、それでもそれほどの時間は要しませんでした。

目的地は鋸南町岩井駅や小浦港がある南房総市の、北隣に位置する町です。ここでもミッションが設定されており、指示どおり鋸南小学校附近に向け車を走らせます。ここでのミッションとは……

 

ミッション② 

ヤングジャンプ№.25(通巻2112号)巻末グラビアの聖地を巡って声優・鈴原希実さんに思いを馳せろ!

✔下記マップの番号が振られている箇所を巡り、鈴原希実さんと同じアングルで写真を撮影&「鈴原希実さん…」の文言とともにツイートする。

✔鈴原希実さんと同じポーズで写真を撮ってもらい、夜の反省会にて共有する。(可能であれば)

 

さっき見た。

これ、コピペミスではありません。マジでこう書いています。

もちろん場所が異なるので、全く別のカットの撮影です。移動を挟むので別のミッションとしたんでしょうが、実質先ほどの小浦港の延長戦と捉えて良さそうです。

 

今回の別紙

 

さて、ここ鋸南町で回収を指示されているカットは2つ。その2つも僅かに数十メートルほどしか離れていないものなので、かなりイージーに思われました。しかしそれは机上の空論。実際のところ、この日最も神経をすり減らしたのは、このミッションでした。

 

雑誌掲載のカットを再現するためには、気を配るべき点が多々あります。特に撮影する画角については、より正確に再現するためには、ある特定の1点から撮影しなければなりません。例えば建物と山の稜線の重なり具合とからするとこの辺だろう……とか、寄せて撮ると柵の向こうの構造物が映ってしまうのでもっと引きで撮るべきか……みたいにああでもないこうでもないとトライアンドエラーを重ねながら撮るため、どうしても1箇所当たり数分は要します。

実際のところこのミッションを達成したと言い張るためにはそこまで気にする必要はないと思いますが、これはもうオタクの性というか、折角撮るのならばベストを尽くしたいとどうしても思ってしまう質なのでどうしようもありません。実際はこちらはスマホでの撮影なので、機材の都合でどうにもならない差異も多いんですがね。

 

ともかく、先述のとおり1カット撮影するのに数分を要すわけですが、これは小浦港ではほとんど周囲に人がいなかったため、造作もなく行えました。ところが今回の撮影ポイントは、住宅地、それも小学校の真ん前。これは怪しすぎます。

この日は土曜日でしたので小学校の授業はないはずですが、何らかの催しが行われているのか、ちょうど小学校の駐車場から多くの車が出てくるタイミングで、より撮影の困難さに拍車をかけます。

 

(気にしすぎでは……と思う方もいるでしょうが、過去に全く別の旅行先で、ごく普通の風景写真を撮影していたら地元の素行が比較的よろしくない方(婉曲表現)に絡まれすげぇ面倒くさかった経験があるので、どのような場面でも不審に思われる余地を可能な限り減らしたいという思いがありました。)

 

まず初めに、一般通過オタクの顔つきをして撮影地を見てみます。ここで大体の撮影位置を確認。目視で画角についても検討します。その後でできるだけ手短に撮影を敢行しミッション完了という2段構え(?)で行くことにしました。

1枚目は小学校の外周歩道。ここは柵越しに小学校の校庭方向に向けてシャッターを切るため、撮りづらさMAXです。

2枚目はその近くの十字路。路端にカーブミラーが設置されておりそこでの撮影です。1枚目ほどではありませんが、周囲が住宅地なのでやはりこちらも撮りづらいです。

 

2枚目までロケハンし、ちょうど周囲に人がいないタイミングだったので先に2枚目のスポットから撮影をします。できるだけ手短に、何枚か撮って退散。

 

先に2枚目。カーブミラー(2)

1枚目の撮影地に戻りますが、ここで道の向こうから地元のおじいちゃんが歩いて来るのを認めたので一旦撮影を保留。タイミングをずらして何とか撮影し、無事ミッション完了です。慌ただしかったので、思いを馳せる余裕はなかったですが。

1枚目。小学校の外周

 

というかどうしてこの場所が撮影地に選ばれたんでしょうね?小浦港はまだ海の景色が撮れるので分からなくもないですが、こちらは本当にごくごく普通の住宅地。どうやって場所を選んでいるのか、気になるところです。

あとどちらの箇所でもカーブミラーの下でポーズをとっているカットがあるんですよね。なんでだろう……小柄さが際立ってオタク受けがいいからかな……

 

 



さて、だいぶ女性声優撮影スポット巡りに文字数を割いてしまいましたね……

ここまで5000字超にわたるオタクの徘徊奇行文を読ませてしまって、申し訳ないです。お付き合いくださりありがとうございます。旅行記っぽい記載に戻りますので、どうかご勘弁を。

 

時刻は12時半。そろそろお昼ご飯です。行程では昼食場所は指定されていませんが、いくつか候補が挙がっていました。

その中の1つ、惣四郎」という寿司店に向ってみましょう。行程に「昼過ぎだと終了している可能性大」という注釈がされているのが気がかりですが……

 

お店は今いる鋸南小学校附近からかなり近く、駐車場が分からず入店に少し手こずりましたながらも、ものの数分で到着しました。終了の可能性大との事前情報があったので、ダメもとの気持ちで訪れましたが、今日はまだ大丈夫とのことで、ほっと一安心。

 

店内はカウンターが4席ほどあるほかに、小上がりが2卓用意されています。カウンターに収まって、注文したのは「地魚にぎりAセット(1050円)」。店内外に掲示があり、ネット上の口コミでもかなり推されていることから、多分人気メニューなのでしょう。地魚の寿司8貫と鯵の味噌汁、手作りデザートがセットになっています。200円高い上位互換のBセットには、上記に加えてなめこそばがついてくるようです。

 

美味すぎた

 

10分ほど待ってAセットが運ばれてきます。8貫の寿司はいずれも見た目は似ていますが、実は全て違う種類の魚。こだわりを感じます。おなじみの魚からあまり耳なじみのない魚まで、様々な味と食感を比べながら楽しめて、とても良かったです。美味。

「サワラ」と「ワラサ」が同時にきてはじめは「え?」と思いました。というか「ワラサ」ってはじめて聞いた魚なんですが、東日本において60〜80cm程度のブリをそう呼ぶとのこと。出世魚であるブリの数ある呼び名の一つみたいですね。

味噌汁とデザートと解説つき

 

セットの鯵の味噌汁は、炙った鯵がまるまる1尾入っており豪快。香ばしくてこちらも美味しかったです。最後には自家製のデザート。キウイのチョコレートの寒天で、いきなり洋風?なメニューでびっくりしましたが、優しくて食後にはありがたい味わいでした。

 

大満足で店を後にします。リーズナブルながら料理もたいへん美味しく、そりゃ遅い時間には売り切れちゃうのも必至だわと納得しました。また南房総方面へ行く機会があればぜひ訪れたいお店です。いいお店を教えてもらいました。



6鋸南→館山→浜金谷】

 

そろそろ館山に戻らなければなりません。ここ鋸南から館山は車で30分ほどです。この先乗る列車の時間から逆算して行動します。

 

国道127号を南下します。途中時間があったので那古船形駅に寄り道したり、レンタカーに給油したりしながら、再び館山駅に戻りました。ここで無事レンタカーを返却。

 

 

 

さらに時間があったので、駅の東西を見て回ります。

 

館山駅西口から海岸方面を望む

レンタカーの営業所があった西口は北条海岸にほど近く、明るく開けた雰囲気です。白壁に橙色の屋根の南欧風の駅舎に合わせて、周囲の建物の一部も意匠を揃えており、海岸に続くヤシの木と相俟って、リゾート気分を演出しています。第一印象では志摩スペイン村みたいだぁと思ったものですが、元ネタが同じならばそれも当然ですね。

 

こちらは東口

一方逆側の東口。こちらは市街地に近い側であり、地元の人が普段使いするのはこちら側なのでしょう。駅前には学習塾や居酒屋が居を構え、典型的な地方都市の駅前という様相を呈しています。

ちょうど東口から、アクアラインを経由して東京方面に向けて高速バスが出発してゆきました。館山駅は個人的には房総半島の特急列車の終着駅という印象が強かったですが、今ではその需要の多くは高速バスに取って代わられたようで、現在館山駅発着の特急列車といえば、今朝乗った新宿さざなみ号が時々臨時で設定されるのみです。諸行無常を感じますね。

1本だけの「本日の特急」



再び駅に戻ってきっぷの手続きをします。直後に乗る区間交通系ICで乗るのですが、行程作成者によって用意された、さらに後に使うきっぷの区間に一部誤りがあり、変更の手続きが必要でした。

近年全国的に出札窓口(みどりの窓口)が大幅に縮小される傾向にあり、館山駅もその例外ではありません。代わりに数を増やしているのが「話せる券売機」と呼ばれる、オペレーターと通話しながら券売機を通して各種手続きができる券売機でした。自身は使うのは初めてで、「オペレーターにつながるまで数十分待たされる」なんて噂も聞いたことがあるのでホントにこれでできるのか???とやや疑心暗鬼のまま操作しましたが、すぐに繋がったし操作も全部案内されるので分かりやすく、すんなり手続きが完了したので拍子抜けたくらいです。オペレーターとちゃんと繋がりさえすれば、便利に使えそうです。

 

14:42。内房線の木更津行き普通列車館山駅を後にします。4両編成の列車はちらほらと立ち客が出るほどの混雑です。

那古船形、富浦と内房線を北上します。今日はこのあたりを北に南に何度も往復していますね。レンタカーを選択したことが原因なんですけど。

件の小浦港のそばを通過するのを見届けたのを最後に、意識が途絶えました。レンタカーというズルはしたものの、それでも6時台から動き続けているわけで、無理もないでしょう。

 

はっと気づいた瞬間にはちょうど降りる駅に着いて扉を開いたところであり、あわてて下車します。15:08。浜金谷着。

 

7【浜金谷→久里浜

浜金谷では意外と多くの乗客が下車していました。近くの金谷港から東京湾フェリーが出るので、それに乗り換えるのかもしれません。私もその1人です。

ここの乗り換えはかなりタイトで、乗ろうと目論んでいる便は15:20に出港します。猶予は12分。Googleマップでは駅から港までは徒歩7分と表示されるので、理論上不可能ではありませんが、かなり急がなければなりません。

 

東京湾フェリーは、千葉県は房総半島の金谷港と神奈川県は三浦半島久里浜港を40分で結ぶ航路です。時期によって運航本数が変動しますが、この日は本数の多いAダイヤの適用日で、おおよそ毎時1本運航されていました。

館山から北上する国道沿いには、年季の入った東京湾フェリーの広告看板がいくつか立てられており、渋滞なしで都心方面に帰れる利便性をアピールしていました。かつてはそうした利用で賑わったようですが、東京湾アクアラインの開通で大打撃を受けてしまったようです。こちらも諸行無常ですね。

この航路は乗っておきたいとぼんやり思っていた航路なので、こういう形で機会を得られて良かったです。

浜金谷駅からダッシュ

 

駅の写真を軽く撮るなどしながら足早に港を目指します。問題は、15:20の便に乗るためにどれくらい前に港に着いている必要があるか分からない点です。長距離フェリーなどでは、徒歩乗船でも出航の30分前には港に着いているよう案内がされることがあります。さすがにこの短距離航路で30分前ということはないと思いますが、それでも5分前あたりで締め切る可能性はあり得ます。1分でも早く港に着くに越したことはありません。

 

港周辺は観光客向けの飲食店が軒を連ね、フェリーターミナルも土産物コーナーを通り抜けて乗り場に向かうかのような構造でした。しかし時間がないのでいずれも素通りするほかありません。券売機で素早く乗船券を購入し、2階にある乗り場へ急ぎます。この時点で15:15。出航5分前の微妙な時刻ですが、改札係に切符を提示すると、止められることもなく停泊中のフェリーに案内されました。

 

乗り込んだ船は「しらはま丸」。船内は複数の階層があり意外と大きいです。乗客はそれなりにいますが、それを上回るだけの座席が用意されており、直前の乗船でも難なく席の確保はできました。荷物を置いて、甲板に出てみます。

 

しらはま丸から望む金谷港と鋸山

 

甲板に出るころにはすでに出航の準備がほぼ整っており、まさにしらはま丸が動き出そうとしている最中でした。後方を見ると、金谷港の向こう側に、壁のように屹立する山容が目につきます。富津市と鋸南町の間に聳える鋸山です。

鋸山は標高は300メートル台と決して高い山ではありませんが、海のすぐ傍にまさしくノコギリの歯のような荒々しい山体が立ち塞がっている様子を目の当たりにすると、高さ以上の迫力を感じます。港のすぐ向こうに高い崖がそそり立つ光景は、どこかの離島の出港シーンのような雰囲気があります。

 

船内に戻ります。この船には売店があり、土産物のみにとどまらず唐揚げやポテトなどのホットスナックも取り扱っています。

せっかくなので利用してみることにしました。どうせなら他ではなかなかお目にかかれないものがいいなと思い、よこすか海軍カレーパンいわしバーグを購入し、おやつにしました。

カレーパンといわしバーグ



 

船室から前方をに目をやると、もう目的地の久里浜港が間近に見えます。

偶然にもこの旅行の前週に、太平洋フェリーの名古屋から苫小牧に至る航路に乗船していました。その時の所要時間はおよそ40時間。それと比べると、東京湾フェリーの40分は刹那と言っても良いほど短く感じます。正直もっと乗っていたいくらいです。

(そんなオタクのために、同じ船ですぐさま折り返すだけのチケットも発売されているみたいです。)

 

船の前方を、伊豆諸島からやってきた東海汽船の船が横切ります。東京湾フェリーの航路は、東京湾と外海を繋ぐ航路に直交するような形となっており、目を凝らすと他にも数多の船が横切るように航行しているのが見て取れます。操舵に気を使いそうな航路ですね。

 

東海汽船

 

自販機で飲み物を買おうと船内をうろうろしていると、下層のデッキにばかデカイゴルフバック置き場が用意されているのを見つけました。この日は数えるほどしか置かれてはいなかったですが、シーズンや時間帯によっては、ここに満載するほどに房総方面に向かうゴルファーの乗船があるのでしょうか。

 

ゴルフバック置き場が無限に

 

そうこうしている間にも久里浜港はどんどん近くなり、ほぼ16時ちょうどに着岸しました。降りる際にチケットを渡さなければならず、一瞬どこにしまったかと探してしまいましたが、ポケットに入っていたのがすぐに見つかり事なきを得ました。

 

8久里浜→逗子→葉山→逗子】

 

房総半島から三浦半島へ渡ってきました。日は西に傾きつつあります。

 

乗ってきたしらはま丸

久里浜港から駅までは徒歩だと30分弱かかるようですが、港から連絡するようにバスが出ているのでこちらを利用します。

バス乗り場の傍には折り返しのフェリーで金谷港へ航送する自動車が列をなしていました。航送料金は普通車で4400円と決して安い額では無いように思えますが、久里浜・金谷間は陸路で向うとなるとアクアライン経由でも110キロを要すので、うまく使えば短縮効果は大きいのかもしれません。

接続する京急バスに乗って、10分ほどで京急久里浜駅に到着します。が、ここから京急線には乗り換えず、行程ではJRの久里浜駅から乗るように指示されているのでそちらのほうに向かいます。

JRの久里浜駅横須賀線の終点駅で、京急久里浜駅の裏手に位置します。そんなに離れているわけではありませんが、バスを降りた京急の駅前と比べると物静かな雰囲気。

JRの久里浜駅

16:42発の千葉行きに乗車します。

ホームの横には留置線が広がっています。眺めていると、停まっている横須賀線の車両を撮影するために線路内に立っている鉄道ファンがおり、え?これヤバいやつなんじゃ?と一瞬身構えしましたが、よく見たら近くにJRの係員も控えていました。最近よく聞く、公式の撮影会が開かれていたみたいです。

 

(おそらく↓これ↓)

www.tetsudo.com

 

久里浜から乗って、この後は逗子で下車します。乗車時間は20分ほどしかありませんが、行程ではグリーン車へ乗車するよう指示されています。実は今回の行程、朝の西武多摩川線と中央線、それから昼過ぎの内房線以外の鉄道移動は全てグリーン車を利用することになっており、そのためのきっぷor料金も用意されています。自分ではまずこんな豪遊はしないので、さすがにたまげました。とはいえせっかく料金が用意されているので、ありがたく乗車します。

 

グリーン車

 

久里浜を発車した列車は、三浦半島の山間をトンネルも用いつつ北上。半島東側の海岸に出たら横須賀です。車窓からは護衛艦の姿も見えます。横須賀を出ると進路を西に転じ、半島を横断します。西側の海岸線に近づくと、下車予定の逗子に到着です。

 

逗子駅からは再びバスに乗車し、葉山方面を目指します。逗子駅前には多くの人やバスが行き交って入り、つい2~3時間前までは南房総ののどかな海岸線にいた私には大都会のように映りました。

 

ここでちょっとしたミスをします。

逗子駅での乗り換え時間は10分あったのですが、トイレにいっていたり何だったりで、行程で指示されたバスを逃してしまいました。これは問題ありません。毎時4~5本ほどバスは出ており、行程にも「適当に乗車」と記載されています。

指示されていたバスは「葉山」行きでした。バス乗り場で待っていると、「長井」と別の行き先を示したバスがやってきます。経由地の表示を見たら「葉山」の記載があったため、なんだ、これに乗ったら早く着きそうじゃん~と深く考え乗り込んでしまいます。

これが間違いでした。後から知ったのですが、逗子から葉山まで向かうバスは、県道207号経由で海岸沿いに向うものと、国道134号経由で内陸を通って向うものがありました。「葉山」へ向うのであればどちらでも良かったのですが、行程では海岸沿いに走る前者の途中にあるバス停に向かうということになっています。私が乗り込んだのは後者のルートであったため、明後日の方向に向ってしまっていたのです。

 

京急の逗子・葉山駅を出たころ、車内のモニターで経由地を見ていた私はここで初めて違和感を覚えます。たしかに葉山経由するよな……?でもなんか思っているのと違うバス停が表示されているけど……?

もしやと思い経由バス停と地図を照らし合わせて確認したところ、これ違う経路か???と思いあたり、急いで押釦を押します。

バスは「桜山七丁目」に停車。慌てて下車します。幸いだったのが、このバス停が海岸沿い経由と内陸経由が分岐する直後のバス停だったこと。ここから徒歩5分ほどで、海岸沿い経由のバス停に向うことができるようです。1つ先まで行ってしまっていたら、桜山隧道を潜ってかなり内陸まで運ばれてしまうところでした。

 

徒歩で「六代御前まえ」バス停へ移動し、ここから乗車。行程記載の便からはいくぶんか遅れてしまいましたが、無事に本来のルートに復帰しました。

さすが葉山へ向うバスと言うべきか、日没迫る時刻にもかかわらず、地元客に混じって観光客風の乗客も多く、そこそこの乗車率でした。県道はところどころ幅員が狭いところもありましたが、運転手の技術と経験の賜物か、何事もないように対向車と離合していました。

 

10分ほど乗車して、17:53、「真名瀬」バス停で降ります。ここでは、最後のミッションが用意されています。

 

夕刻の真名瀬海岸

 

ミッション③ 

ヤングジャンプ№.10(通巻2098号)巻末グラビアの聖地を巡って声優・鈴原希実さんに思いを馳せろ!

✔下記マップの番号が振られている箇所を巡り、鈴原希実さんと同じアングルで写真を撮影&「鈴原希実さん…」の文言とともにツイートする。

✔鈴原希実さんと同じポーズで写真を撮ってもらい、夜の反省会にて共有する。(可能であれば)

 

知ってた。

ここまで徹底していると、いっそ清々しさを感じますね。

ヤングジャンプ№.10(通巻2098号)」は買っていないのでこの場所に心当たりはなかったですが、例によってご丁寧に詳細なガイドが用意されているので撮影できてしまいます。

 

降りた「真名瀬」バス停は、真名瀬海岸の小さな砂浜に隣接して設けられていて、降りた瞬間に海の景色が飛び込んできます。先程のミスで時間を食ったこともあり、すでに夜の帳がほぼ下り切りつつある時刻ですが、うっすらとした明かりの中に浮かぶ海岸の風景はなかなか風情がありました。遠くには鎌倉・江の島方面の町明かりも見えます。晴れた昼間には相模湾越しに富士山も望めるようです。

 

最後の別紙

 

今回の撮影スポットはバスを降りてすぐ、というかバス停そのものであったので、移動には全く困難がありませんでした。

逗子方面に向かうバス停には白く塗られたコンクリート製の待合所が備えられており、ここが最後の撮影スポットです。カットとしては3つありますが、いずれも数メートルの範囲で撮られているものでした。

1枚目。バス停待合所

2枚目。標高約3.8m

3枚目。海岸へ降りる階段

私にとって幸運だったのが、この真名瀬海岸自体が風光明媚な場所であるのに加え、当該バス停も写真映えスポットとして認知されつつあるため、撮影をしていてもさほど不審感が出なかった点です。苦労した鋸南とは対照的ですね。

 

miurahantou.jp

 

私が滞在している最中にも、ツーリング中と思しき兄ちゃんがやってきて愛車とバス停を合わせた写真を撮っているような場面もありました。バス停であるので、発車時刻近くになるとバス待ちの乗客がやってきます。その時だけは写りこんでしまわないよう気を使いつつ、3つのカットを回収。光量が足りなくてどうしてもブレてしまいますがまぁ御愛嬌でしょう。

 

 

 

ミッションが終わったので逗子へ引き返すべくバスを待ちます。ただ、私の中にはどうしても心残りがありました。

 

✔鈴原希実さんと同じポーズで写真を撮ってもらい、夜の反省会にて共有する。(可能であれば)

 

思い返すのはこの指示。振り返ると今回の旅行は勝手にレンタカーを使ったりと行程の指示を破りがちです。無論仕方のない部分もありますが、こういったことがまかり通るのは企画の趣旨の観点から問題でしょう。禊をしないといけません。

 

ということでやりました。自撮り。

周囲に撮ってくれるような人はいなかったので、バス停待合室内にあった出っ張りのようなところにスマホを設置しての撮影です。一般的にオタクは自撮りをしないと言われて久しいですが、私も御多分に漏れずマジでする機会がないままここまで来てしまったので、セッティングにはだいぶ苦労をしました。そんなわけで撮れた写真は画角もめちゃくちゃでとても見られたものではありませんてしたが、これで許していただきたいところです。

問題の写真。オタクキモすぎ罪で捕まるかもしれないので一部加工しています。

 

例によって観光客を満載したバスに揺られ、真名瀬海岸を後にします。また明るい時間に改めて訪問してみたいですね。

若干の渋滞に巻き込まれながら、18:40頃、逗子駅に到着です。

 

行程どおりであれば18:23着であったので、およそバス1本分遅れています。往路のバス乗り間違いが響いた格好です。

しかし問題はありません。行程に遅れが生じても良いよう、この2回目の逗子駅で約100分のバッファが設けられており、この間に夕食もとれるようになっています。次に乗る列車は20時過ぎなので、だいぶ余裕があります。

 

逗子駅周辺には飲食店も多くあり、夕食には困らなそうです。昼飯を寿司と豪勢にキメているので、ここは適当なもので良いかなと妥協し、悩んだ結果神奈川県の郷土食を固め濃いめ多めで食すなどしました。

 

 

 

(行程では一案として葉山町内の海鮮が楽しめる飲食店に行くプランも挙げていましたが、午前までに予約が必要なお店であったため、その時点ではこの先の行程がうまくいく保証もなく、予約してしまうのもリスキーと思い断念したのでした。)

 

9【逗子→取手】



逗子発20:09の千葉行きで離脱します。もうここからはゴールに向けて一直線。次に改札を出るのは取手駅です。

グリーン車階下席のシートに身を預けます。鎌倉あたりから都心方面に帰る観光客が乗ってくるかと思いきや全く乗ってこず、貸し切り状態で横須賀線を上ります。

大船に着くかどうかの辺りで意識が落ち、気づいたら西大井を出る頃でした。この列車の乗車は次の品川まででしたので、危うく寝過ごすところでヒヤッとした瞬間でした。

 

品川では16分の接続で、21:15発の特急ときわ79号へ乗車。品川からは上野東京ライン直通の常磐線が出ているので、乗り換えなしで取手まで行くことも可能でしょうが、せっかく特急のそれもグリーン車の料金券が用意されていたので、ありがたく使わせていただきましょう。

 

ときわ79号

品川を出た列車は東京に停まり、13時間くらい前に上を走る総武線ホームを通り過ぎた秋葉原を通過。秋葉原を起点に、房総半島、三浦半島を巡る時計回りの大きな円を描いて移動したことになります。

ときわ号は常磐線を快調に飛ばし、品川から40分弱の乗車でに到着。この先特急は取手に停まらないので、ここで後続の列車に乗り換え。6分の接続で最終ランナーとなる普通列車に乗り換えます。最後もグリーン車

 

ラスト1本

 

22:09取手着。

 

 

 

この到着をもって、長かった全行程が終了しました。達成感に包まれます。

総行動時間はおよそ15時間半。長かった。

実行者を試すようなミッションの連続に思わずたじろいだり、時にはズルをしたり……

いろいろあったけど楽しい1日でした。

お疲れさまでした。

 

信じがたいのが、私が取手到着1番乗りなんですよね。

22時だよ?夜10時だよ?なんでまだ旅行が続いてるんですかね……?

(未到着の3人のうち1人は私が組んだ行程を実行している訳なので、33%くらいは私が悪いんですけどね……)

とはいえみんな着実にゴールへ近づきつつあり、私の到着から20分後くらい、40分後くらいに1人ずつゴールイン。スーパー銭湯へ移動しひと風呂浴びたところで、日付が変わる前には最後の1人とも無事合流。これにて、第2回「旅程を他人に押し付けろ! ~行程シャッフルフェスティバル~」は無事完結です。

 

その後は、コンビニエンスストア、一般的には"コンビニ"と呼称される施設にて、酒類と、飲酒に伴って行われる軽食、いわゆる"つまみ"を購入し、宿泊先に転がり込み「感想戦」を行ったのでした。

今回の経路

 

10【おわりに】

今回も感想戦は白熱しました。午前3時くらいまではやっていたかと思います。

この催しは誰がどの行程を作成したか明かされない状態で進行してゆくので、ここで初めて全てが白日の下に晒され、自らの作成した行程への言及が許されるのです。

 

私の実行した行程についてもいろいろ判明しました。

まず作成者は誰か。これは正直疑問の余地はありませんでした。というのも、4人の中でミッションに盛り込んでくるほどの鈴原希実さんガチ勢(=のんおじ)といえば1人しかいないんですね。もちろん他のメンバーがミスリードを狙ってなりすましている可能性も否めませんが、それにしては手が込みすぎていました。

そしてこれは、前回の第1回で、私を山陰地方場外馬券売場ツアーへ誘った人間と同一人物です。ああ逃れられない!

新事実も発覚します。実は今回の行程とほぼ同じルートで行程作成者が3ケ月ほど前に巡っていたのです。あの妙に詳しすぎる撮影場所の案内地図も、実際に歩いてるんだからそりゃ正確だよ……伊能忠敬かよ…… しかも悟られないために、一切SNS等に投稿していなかったという徹底ぶり。

あとビビったのは、実は当初四国は愛媛県の鈍川温泉へ行かされる可能性があったということです。陸路で。日帰りで。取手到着時間のレギュレーションへ抵触するために断念されて、今回の行程にコンバートされたとのこと。なぜ鈍川温泉かというと、当該温泉をイメージした温泉むすめ「鈍川まなみ」のcvが鈴原希実さんだからという理由です。ああ逃れられない! 

 

onsen-musume.jp

 

ちなみに自分の作成した行程についても当然ここで感想が語られます。実は私の作成した行程はけっこう難産でした。言い訳になりますが、今回は関東発関東着の行程を作成しなければいけない中で、私以外の全員は関東在住歴が長く、日帰りで行けそうなエリアは大体行き尽くされている感があります。もちろん、一度訪問済みの箇所に再度行かせるのだって大いにアリなわけですが、どうせなら新鮮な気分で旅行してもらいたいじゃないですか……?直前に開業した宇都宮のライトレールに乗せるとかいろいろな案を考えつつも、なかなか形にまとまらず、開催数日前になってようやく決まった訳です。実際、食事に困ったとか中途半端な待ち時間を持て余したとか、そういった形で綻びが露呈していたようで、いろいろと反省すべき点が浮き彫りになりましたね。第3回開催の話もあるので、今後に生かせたらと思います。詳細は実行者がそのうちアップしてくれると思いますので(圧力)、そちらをお待ちください。

 

そんなこんなで感想戦を終えた後は泥のように眠り、翌日起きて昼過ぎに山岡家・銀だこ・サーティーワン三種の神器をキメたあと、取手駅で解散しました。こうしてまたみんな、これまでどおりの日常に戻って……



10月21日。京都府亀岡市

上記行程の作成者と、その実行者、つまり私は、「サンガスタジアム by KYOCERA」にいました。約21,600人収容、2020年完成の球技専用スタジアムです。

 

 

お目当てはもちろん、この日開催の京都サンガF.C.湘南ベルマーレ戦のセレモニーに登場する鈴原希実さんです。

スタジアムの最前列での観戦でしたが、すぐ下の通路を鈴原希実さんが何度も出入りするものだから、めちゃくちゃ近かったです。かわいかったです。夢でも見てるんじゃないかと思ったくらいです。

鈴原希実さん……

いやね、もともとキャラクター、桜小路きな子ちゃんが好きだったので鈴原希実さんも気になるキャストの1人だったのはそうなんですが、先月房総半島・三浦半島を歩いて彼女の足跡を辿り、強制的に思いを馳せさせられる経験をしたものだから、どうも狂いをこじらせてしまった感があります。ああ逃れられない!

 

行程シャッフルフェスティバル。それはオタクをより深い沼に突き落とす、業の深い遊びでした。

皆様もぜひやってみてください。

ありがとうございました。

 

 

↓↓↓ほかの参加者の行程↓↓↓

 

hakutakayamamo.hatenablog.com

 

fwbc0416.hatenablog.com





編集記録
11/12 一部の添付画像及びリンクを追加
11/12    誤字脱字及び一部表現の修正