旅行記 2015 10 「東北ジグザグ紀行」 ⑦BRTで、気仙沼へ

f:id:gonzalezkw:20160206232506j:plain

柳津を発車したBRTは、30分ほど走り、南三陸町志津川駅に着いた。

「駅」とは名乗っているが、列車は来ない。事実上バス停である。

f:id:gonzalezkw:20160206232843j:plain

車窓から、旧南三陸町防災対策庁舎が見えた。もうこの辺りより、津波被害の大きかったエリアに入っている。周囲はほとんど更地であった。

志津川を出たバスは、程なくしてベイサイドアリーナ駅に到着した。先ほどの志津川駅は震災前より気仙沼線志津川駅として存在していたのに対し、こちらのベイサイドアリーナ駅は、BRT化後に新設された駅である。

この駅周辺には南三陸町の役場仮庁舎や総合体育館、診療所があり、南三陸町の仮の中心地といった様相だ。高台移転などで震災後に、従来の鉄道駅から町の中心が離れてしまったようなケースにおいては、運行ルートの自由度が高いBRTが有用なのかもしれない。

f:id:gonzalezkw:20160206233453j:plain

BRTは、気仙沼線の路盤を利用した専用道路に入った。トンネルも、旧来のものを活用している。走行したまますれ違えるほどの広さはないので、所々に信号機のついた待避所が設けられている。ここだけ見ると、単線の鉄道のようだ。

専用道なのだから、当然BRT以外はこの道路に侵入することはできない。一般道との境界には遮断機が設置されていて、普段は遮断棹が下りている。BRTの車両が近づいたときのみ開く仕組みだ。

なんとこの日は一般車両が誤進入してきてしまっていた。前方から、対向するBRT車両に続くように、一般車が走ってきたのだ。BRTの運転手に注意され、一般車はバックして最寄の出口から出ていった。これ、一歩間違えれば事故になってたよな。

f:id:gonzalezkw:20160206234549j:plain

先ほどの志津川駅のような比較的主要な駅には待合室があったり駅員がいたりするのだが、そうでない駅は、路上にポールが置いてあるだけ。ますます一般的な路線バスのようだ。

ちなみに、専用道を走る区間は案外短く、それ以外は並行する国道を走行していた。「駅」もその国道上に設けられているものが多い。この日はさほどダイヤに遅れはなかったが、行動を走る以上、どうしてもダイヤの乱れとは切れない関係にある。定時性確保が、BRT導入の上で課題になってくると、どこかで聞いたのを思い出した。

f:id:gonzalezkw:20160207000120j:plain

BRTは、気仙沼の市街に入ってきた。よくある、幹線道路沿いにロードサイド店舗が林立する光景だ。最後は専用道路を走行し、気仙沼の町を西に大きく回り込む形で、終点の気仙沼駅に到着した。

f:id:gonzalezkw:20160207000625j:plain

f:id:gonzalezkw:20160207000634j:plain

気仙沼に到着した。ポケモントレインが運行されているからだろうが、駅構内にはポケモンが目立つ。

f:id:gonzalezkw:20160207001035j:plain

気仙沼駅は、本来、前谷地から気仙沼を結ぶ気仙沼線と、一ノ関から気仙沼を経由して盛までを結ぶ大船渡線の接続駅であった。しかし今は、気仙沼線大船渡線盛方面はBRTとなっているため、鉄道とBRTの接続拠点としての性格が強い。かつて線路があった気仙沼駅1・2番線はアスファルトが敷かれ、ここからBRTが発着する。

f:id:gonzalezkw:20160207001546j:plain

時刻表には、「鉄道とBRTは接続するとは言っていない」みたいな旨が記されているが、これは道路状況等による遅れが発生した際の予防線だろう。この日はほとんど遅れはなく、盛方面へも一ノ関方面へも問題なく乗り継げそうだった。

気仙沼にて、大船渡線盛行きのBRTに乗り換える。

 

(つづく)